○ 第3章
  まじかる☆エンジェルズ、全員集合?・・・

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美也子お姉さま
よく晴れた日曜日の
午後
白塗りの壁の二
階建ての家の前で
女二人の声が高らかに
響く
来たぞ
お姉さま
来たで
うう
美也子は二階の自室
勉強机の前の椅子に座
りながら
その声を聞
いていた
右手の
家の正面に
面した窓は大きく開か
れている
風が吹き込み
薄い
ピンクの花柄のカ
ンが
ふわりと揺れた
ふわ
ふわり
続いて響く
けたた
ましい呼び声
いないのか
美也子お姉さま
来たです
ううう
美也子は机に両方の
肘をつき
両手で両頬
むに
とかかえ
ううう
来た
来た
来た
た来た
二人が訪れるのは
この一週間で
これで
三回目だ
その度
読んでいた本を中
断させられたり
勉強
の予習を中断させられ
たり
観ていたテレビ
を中断させられたりし
ていた
ちなみに
いまは明
日が期限の数学の宿題
をしていたところ
お姉さま
ふいに
ガチ
階下で扉
の開く音
玄関の扉が
開く音
あら
亜久亜
クア
さんに
茶茶
いら
ママ
わざわざ表に出ること
ないわよ
そんな二人
といていいわよ
美也子は
すくり
と椅子から立
ち上がると
窓辺へと
近づき
ささ
とカ
テンのかげに隠
本当にそ
表を覗きみた
家の前は広
とした
公園
あちこちに休憩用の
ベンチがしつらえられ
が植えられ
滑り
台や
ブランコもある
日曜日の午後にしては
人影はぱらぱらとまば
らだ
その公園と自宅との
あいだ
舗装されたや
や幅広のま
すぐな道
住宅街の中の道
そこに
二人の少女
が立
ていた
ど美也子の家の
腰ぐ
らいの高さの低い白塗
りの門の前
美也子にと
ては
二人とも
もうよく見
ている相手
門から玄関までは庭
をはさんで
六メ
トルほどの距離があ
ここからは見えない
玄関のところには
彼女の母親が顔をみせ
ているのだろう
少女
二人は
手を上げ
こにこと笑
ている
ども
また
来ました
来たです
お母さ
すぐに返
てくる声
いら
美也
んは二階にいるわ
お姉ち
二階だ
最初の声は母親
の声は小学校に上が
たばかりの妹
奈奈の
ものだ
あのね
奈奈
れからママとい
にお買い物にいくの
あのね
新しいお洋服
てもらうの
でも
お姉ち
んはいか
ない
だからね
あのね
だから
お姉
ん二階にいるよ
うう
美也子は思
こんなことな
きママに訊か
れたときに
行く
て言えばよか
いまさらもう
ぱり行く
なんて言え
ない
すべてはもう後の祭
そうなんだ
奈奈ち
んよか
たね
よか
たです
奈ち
かわいいか
とかわいくな
るです
えへへ
母親と
母親の腕に
両手でし
かりとしが
みついている奈奈の姿
が見えた
玄関から門の方へと
歩いてくる
二人とも
外出用のきれいな衣服
に身をつつんでいる
よか
たわ
どいま
奈奈と出かけ
るところだ
たの
お二人ともご遠慮
なくおあがりにな
美也子
一人で留守番
だから
てもよろ
こぶわ
よろこばない
宿題
まだ終わ
ないのに
美也子は
かくん
と首をかたむけた
しかたないか
はいです
母親は門をカチ
と開けた
美也子は
ちら
庭へと入
てくる二人
の少女へと目を向けた
やれやれ
一人の少女は背が高
まだ春だというの
薄手のシ
ツに
下もカジ
アルなシ
トパンツという姿を
していた
遠く離れた二階から
でも
バスケ
トをし
て鍛えたという
二の
腕や
ふとももが
と引き締ま
てい
るのがよく分かる
美也子より二つ年上
中学三年生
名前は
杉本亜久亜
すぎもとアクア
体育会系
それじ
おじ
しま
もう一人の少女はど
こか幼さの残る顔立ち
淡い赤みがか
色の
ふんわりとした
お嬢様風のワンピ
ドレスに身をつつんで
いた
美也子の二つ年下
まだ小学五年生
小脇にはテデ
ベア
のぬいぐるみを大切そ
うに抱え
こりと
ている
名前は
如月茶茶
きさらぎち
お嬢様
おじ
まするです
それじ
お二人と
ごゆ
くり
はいです
やれやれ
母親と奈奈はそのま
ま門の外へと出て
を向こうへと歩いてい
二人の少女は玄関の
方へと
おそらく
いま
の瞬間には他の人
もちろん
母親
と奈奈にも
見えて
はいないはずだ
でも
二人の少女
亜久亜と
茶茶のすぐ
脇の空中には
それぞ
れ水色と黄色の
りんて
ふわ
ふわ
ふわふわと浮か
んでいた
ふわふわ
ふわふわ
二人
ぷりんて
んたちも
にこにこ
にこにこと笑
ている
美也子お姉さま
すぐに階下から声が
響いてくる
はい
はい
はい
美也子は窓辺をはな
開け放たれたまま
部屋の出口へと向
知らず知らずのうち
両腕を組んでいた
と思う
とつぶやいて
いた
たく
まさらどうでもいいけ
どね
どうして
いつ
のまにか
私の部屋が
まじかるエンジ
ルズ
の会議室にな
たのよ
しかたない
こがリ
なんだし
亜久亜は丸いココナ
コレ
トを
親指で
と上
に放り投げ
ぱくん
と口に飲み込み
トパンツから
むき出しの素足
その引き締ま
た片方
の足をす
と伸ばし
片方の膝をたて
絨毯
の上に座
ている
反対の手を後ろに突
いて
体を支えている
茶茶
そうですよ
茶茶は首をち
こん
と傾けて
にこ
と笑
絨毯の上
亜久亜の
斜交い
はすかい
正座の姿勢から少しだ
け足をくずして座
いる
ワンピ
スドレスが
ひだを波打たせ
ふわ
ふわ
と絨毯の上
に広が
ている
ビロ
ドの海のよう
美弥子お姉
さまがリ
なんだ
から
しかたないです
はい
はい
はい
そうですね
美也子は湯気のた
た五つのテ
大きめのカ
プが
三つ
小さなカ
プが
二つをお盆に載せて
部屋へと入
てきた
わざわざ下の台所か
ら運んできたもの
わざわざ
わざわざ
亜久亜は体をぐい
と後ろにのけぞらせ
顔を上下逆さまにし
それなに
トココア
いいね
亜久亜は後ろに突い
ていた手をはなし
体を起こした
ぱちん
ちん
と指
を鳴らす
俺さ
トココア
て好きな
んだよな
茶茶も好きです
はい
はい
はい
もう十分わか
ており
ますわよ
二人とも
はい
はい
美也子の部屋
その
中ほど
小さなガラス
のテ
ブルが置かれて
いる
二人はその周りに座
ている
そして
ブルの
上には
はい
おまたせ
うぞ
美也子はに
こりと
小さなカ
プ二つを
先に手にとり
順番に
ブルの上に置いた
美也子さん
ありが
とうございます
お構いなく
ブルの上に
こん
とお尻をつい
お行儀よく座
いた二人
のぷりんて
んが
ぺこ
ぺこと
頭をさげた
美也子はくす
と笑
水色の方
亜久亜に力を分け与
えた
ぷりんて
んで
名前は
パリポ
黄色い方
茶茶に力を分け与え
ぷりんて
名前は
ナミクル
二人とも女の子の
ぷりんて
んだ
女の子らしく
二人
とも
にこ
と笑
いる
パリポとナミクルと
出会い
美也子ははじ
めて
ぷりんて
んに
男の子と女の子が
いることを知
もちろん
トトプト
は男の子
当たり前
ちなみにナミクルは
トトプトの
そのトトプトは
あれ
そういえば
と亜久亜は立てていた
足をす
と伸ばし
ろき
ろと辺りを見
回した
トトプト
うん
トトプト
はね
美也子は大きな三つ
のカ
プを順番に
一つ目は茶茶の前に
コトン
もです
二つ目は亜久亜の前
カタン
サンキ
最後の一つを自分の
席の前に
トン
と置いた
三つのカ
プは
とした湯気をた
てる
ふわ
とした甘
い甘い香り
ても
あたたか
そう
ても
おいしそ
うん
あのね
トトプトは
美也子はお盆をテ
ブルの端に立てかけ
はいている白いジ
ズのすそを軽く引
正座の姿勢で
トン
と絨毯の上に座
あのね
首をち
とだけ傾
あのね
トトプ
トはまたパトロ
ルに
出かけてるの
と亜久亜
と茶茶
美也子はにこ
と笑
あの子も働
き者だから
うん
そうだよな
亜久亜は両腕を組み
うんうん
うんうん
とうなずいた
トトプトはいつも偉
いよな
ほんと
いたいさ
亜久亜はちら
とテ
ブルの上のパリポへ
と目を向けた
彼女の水色のぷりん
パリポは両方
のぷにぷにのお手
プをつかみ
器用
に傾け
ココアをこく
こく
こくこく
と飲
んでいる
パリポはおし
れな
のか
首から小さなペ
ンダントを下げている
こくこく
こくこく
ふに
てもおいしそう
ても幸せそう
にこにこ
にこにこ
と笑
ている
こくこく
こくこく
こくこく
こくこく
にこにこ
にこにこ
小さいカ
とい
ても
それは人間か
ら見てのこと
ぷりん
んたちから見れば
体と同じぐらいの大き
さはある
パリポ
と亜
久亜は言
はい
なおも
こくこく
こくこく
と飲んでい
ふに
あのさ
はい
こくこく
こくこく
あのさ
お前さ
つもそうや
お菓
子食べたり
やお茶飲んでば
かり
いてさ
お前もトトプ
トみたいに
パトロ
ルに行かなくていいわ
こくこく
こくこく
こくこく
こくこく
ふに
とカ
から口をはなし
隣の
ナミクルの方へと顔を
向けた
茶茶の黄色いぷりん
ナミクルも
同じようにココアを飲
んでいた
こくこく
こくこく
こくこく
こくこく
ふみ
幸せそう
ふみ
と口
をはなした
てね
ナミクル
そうよね
パリポ
二人は顔を見合わせ
と声を合わせ
口の周りには
茶色
いココアが付いている
てね
そういうの
日本中
飛び回
心のよごれたエンジ
ルさんを見つけてくる
ても
大切だけど
でも
それ
こう大変だし
だ寒いし
ぱり
肉体労働だし
お肌
荒れるし
変な筋肉
ついち
うし
それ
ぱり
ぱり
パトロ
男の
子の仕事よね
そうよね
亜久亜はち
とあ
きれ顔
ぽりぽり
と人さし
指で頬をかいた
のさ
そういうもんな
のか
パリポは亜久亜の方
へと向き直
くす
と笑
はい
そういうもの
なんです
でもさ
パリポ
それにナミクル
お前
たちさ
亜久亜は首をかしげ
特に
パリポ
お前
俺のところにき
たときさ
虚無とカ
オス
混沌
がなんた
らかんたらで
急がないと時間がな
いとか
なんとか
てなか
たか
だから
心に愛と幸
せの宝石を秘めた
じかるエンジ
ルが必
要で
それと
なんた
らいう長老が
それ
茶茶は笑
と片方の手を上
私もナミクルからス
クもらうときに
言われましたです
だろ
はい
です
パリポはくす
と笑
ナミクルも笑
二人して
小さな右
手を
ぷにぷに
ぷに
ぷに
と左右に振
ぷにぷに
ぷにぷに
ぷにぷに
ぷにぷに
わか
てませんね
お二人とも
そうです
わか
ませんね
うん
はに
パリポは亜久亜へと
目を向け
茶茶へと目
を向けた
ふいにまじ
めな顔つきになり
いいですか
お二人
とも
ぷにぷに
ぷにぷに
ぷにぷに
ぷにぷに
びし
と右手を前へ
と伸ばした
それはそれ
これは
これ
です
はあ
ほへ
ナミクルも
うなず
いた
そうそう
二人へと順番に目を
向け
そうです
それはそ
これはこれ
なん
です
それでいいのか
パリポ
いいんです
本当に
はい
そういうもんなのか
そういうものなんで
ココアうまい
おいしいです
さぼりたいだけじ
ないの
ちがいます
亜久亜は
ぽりぽり
と指先で頬をかいた
パリポはなにやら
自信た
ぷり
亜久亜はき
と引
き締ま
た両腕を
と組んだ
目を閉じ
首を少し
だけ左に傾けた
しばらく
しばらくなにかを考
えているふうであ
誰もが
美也子も
茶茶も
ごく
と息を
飲んだ
亜久亜はふいに
目を開いた
にか
と笑
がく
美也子は
思わず前のめりに倒れ
そうにな
茶茶も
がく
倒れそうにな
パリポと
ナミクル
くす
と笑
くすくす
くすくす
と笑
ている
あのさ
はは
亜久亜は笑
頭の後ろに手を当て
ぽりぽり
ぽりぽり
と頭をかいた
あのさ
よく考えた
むずかしいこ
と考えるの苦手だしさ
なんだか頭痛くな
きた
はい
パリポも笑
むずかしいことはい
いんです
くす
と笑
ふたたび
こくこく
こくこく
とココアを
飲み始める
時間は
ないけど
くり
のんびり
一歩一歩で
いまはココアの時
間です
茶茶も笑
くすくす
くすくす
ですね
ブルの上のカ
プを手に取り
こくこ
こくこく
とココ
アを飲み始める
ナミクルも笑
そうそう
そういう
こと
こくこく
こくこく
こくこく
こくこく
美也子はぐる
とみ
んなを順番に見回した
誰もが
くすくす
にこにこ
と笑いな
がら
ココアを飲んで
いる
こくこく
こくこく
こくこく
こくこく
にこにこ
くすくす
美也子はど
うにも
いまいち
とくがいかない
んな待ちなさいよ
美也子は思
当にそれでいいの
みん
でも
口に出しては
言わない
いうか
言えな
みんな
こくこく
こくこく
とココアを
飲んでいる
くすくす
くすくす
にこにこ
にこにこ
と笑
ている
美也子はカ
プを手
に取り
口をつけた
ぶつぶつ
ぶつぶつ
ココアを
こくこく
こくこく
と飲み
結局
うちの
トトプトば
かり
んばらせて
ぶつ
ぶつ
ぶつぶつ
たく
美也子はテ
ブルの
上からポテトチ
プの
袋を手に取
パリン
と両方の手
で袋を開ける
たく
最近
いつもそうな
んだから
みんな調子いいんだ
から
だいたい
ぶつぶつ
ぶつぶつ
それにですね
とパリポは唐突に言
それに
できればい
まはトトプトにたくさ
ん活躍させてあげた方
がいいんです
あの子
もいろいろと事情があ
ることだし
美也子は思わず顔を
あげた
パリポへと目
を向ける
こくこく
こくこく
こくこく
こくこく
パリポは再びココア
を飲み始めていた
ナミクルもうなずい
そうね
トトプトも
あれでいろいろと大変
だしね
ナミクルへと目を向
ける
こくこく
こくこく
こくこく
こくこく
そうそう
そうよね
あの
美也子は思わずパリ
ポとナミクルを見つめ
ポテチの袋を手に持
たまま
あの
事情
パリポとナミクルを
交互に見つめ
あの
パリポ
ナミクル
トプトが
うちの
トトプトが
あの
どうかしたの
あの
事情
それはですね
パリポは
ふに
とカ
プから口をはな
続いて手をはなし
コトン
と音をた
プがテ
ブル
の上にま
すぐに立
うん
なに
パリポは
息をついた
ちら
とナミクルを
見て
ナミクル
別にいいよ
ても
ナミクルはココアを
飲んだまま言
パリポはち
とだ
け頭をさげ
短いぷに
ぷにのお手
で頭のリ
ボンを
ふにふにと触
じつは
ですね
うん
トトプトは以前に
まじかるランドで
うん
そのとき
ぷり
ぷりんて
ぷりん
ぷりん
ぷりんて
美也子はは
として
顔をあげた
あれ
ほえ
亜久亜と茶茶も
とんど同時に声を立て
として顔をあげ
それ
は耳にでは
なく
頭の中に直接
響いてくる
三人にと
ては
この数週間の
あいだに
もうす
りおなじみにな
たも
のだ
ぷりん
ぷりん
ぷりんて
ぷりぷり
ぷりぷり
ぷりんて
ぷり
ぷりんて
それ
ぷりん
んたちが持つ特殊
能力
物理的な現象によら
心と心をつなぐ
ぷりんて
んの不思議
な能力
シンパシ
共鳴能力
場所の制約を越えて
距離の制約を越えて
心と心を
言葉と言葉
を通い合わせることが
できる
特殊な通信手段
ステ
クの助けを
借りれば
美也子たち
も行うことができる
きらめきの力で
ぷりんて
んの力で
愛の力で
簡単にいえば
一種
のテレパシ
ぷり
ぷりんて
ぷりん
ぷりん
ぷりんて
ぷりぷり
ぷりぷり
ぷりんて
ぷり
ぷりんて
トトプト
三人はほとんど同時
に声を上げた
ざし
とカ
プをテ
ブルの上に
置き
とその場に
立ち上がる
ばば
亜久亜が
茶茶が
そして
美也子が
ガツ
あう
美也子はその場にう
ずくま
立ち上がる瞬間
ひざがテ
ブルのふち
ガツ
とぶち
当た
たのだ
あいた
お姉さま
いじ
うぶですか
茶茶が心配そうに振
り返る
美也子は笑
をかざし
はは
だい
おぶ
パリポは
とし
た表情になると
ブルの上にすく
と立
ち上が
ふと思い
出したように
美也子
の方を見つめ
美也子さん
トトプ
トの話はまた今度
まは
うん
美也子はうなずいた
わか
てる
たしかにいまはそんな
ことを話している場合
ではない
状況が変わ
トプトの事情は気にな
るが
状況が変わ
そんなことは
てる
でも
なんたるドジ
彼女は眉をひそめた
痛くて涙がにじんでき
そう
亜久亜と茶茶はその
場にすく
と立ち上が
天井の方を見上げ
ている
いつもこう
美也子は手に持
ポテチの袋を
右手で
と握り締めた
ひざを押
さえ
くりと立ち
上がる
たく
トトプト
最初に声をあげたの
ナミクルだ
ふわ
とテ
ブルの上
から浮かび上がり
と茶茶の顔のす
ぐ脇へと舞い上が
みんな大変
聞こえる
天井の方からトトプ
トの声が響いた
正確
には
天井ではなく
さらにその上
遙かな
天のかなたから響いて
くる声
聞こえてるわよ
トプト
ナミクルが答えた
お姉ち
トトプト
ナミクルはき
ぱり
とした声で続けた
ちの世界にいる
ときには
お姉ち
て呼ぶな
て言
でし
うん
少し戸惑
たトトプ
トの声
ごめん
お姉
ナミクルだけ
なくて
全員
そこに
美也子ち
んの
部屋にいるの
ナミクルはうなずい
いるわ
私も
パリ
ポも
エンジ
ルズの
みんなも
誰もが顔を見合わせ
てうなずいた
亜久亜が
茶茶が
美也子が
互いに顔を
見合わせて
うなずい
うん
でも
でも
美也子はぶつ
けたひざがや
ぱり
ずきずきと痛んだまま
それで
とナミク
ルは言
茶茶のすぐ脇で
わふわ
ふわふわ
浮かんだまま
その目
と天井を見上
げている
トトプトの返事はす
ぐに返
てきた
あのね
なにか変なんだ
あのね
大勢の子供たちが
襲われているの
でも
ざわ
部屋の空
気が変わ
大勢の子供たちが
襲われている
この数週間
彼女た
ちは
まじかるエンジ
ルとして
な事
件を解決してきた
デパ
トの前で因縁
をつけられていた女学
生を救
たこともある
刃物を持
た通り魔
を改心させたこともあ
ヤクザや
と危
ない相手と相対したこ
ともある
その他にも
いろい
ろと
いろいろと
いろいろと
いろい
ろと
でも
だけど
大勢
の子供たちがい
ぺん
に襲われているような
事件はこれまで一件も
なか
一人
二人ではない
大勢の
子供たち
細かい状況は分から
ない
そんなことは関係な
そんなことより
いまは
トトプト
亜久亜はぐ
と両方
の手を握り締め
ごち
ごち
かいことはいい
いま
すぐ
俺たちをそこへ
そうです
茶茶もき
とした表
情になり
亜久亜お姉さまの言
う通り
いますぐ
たちをそこに
パリポもうなずいた
ふわ
とテ
ブルの
上から浮き上がり
久亜の肩に
と降
り立
天井を見上げ
トトプト
急いで
うん
ナミクルはほほ笑み
くる
と空中で向きを
変え
部屋の中
一人
一人の顔をさ
と見回
した
みなさん
よろしい
ですね
亜久亜は笑
茶茶も笑
はいです
美也子もうなずいた
うん
ずきん
と右ひざが
痛んだ
美也子は思わ
少しだけ身をかが
めた
手に持
たポテ
チの袋が
がさ
と音
をたてる
美也子は部屋の中を
見回し
右ひざに手をあてた
パリポとナミクルは
顔を見合わせ
にこ
と笑い合うと
天井を見上げた
二人の声がきれいに
そろう
トトプト
いいわよ
うん
あの
トトプトの声は続い
強制転移準備
亜久亜は天井を見上
と笑い
いくぜ
いくです
茶茶も言葉を続ける
と思い
茶茶
は部屋の隅に駆け寄
壁に立てかけてあ
たテデ
ベアのぬい
ぐるみを
と抱
きかかえ
テデ
んも
にいくです
美也子はもう泣きそ
うだ
右ひざが
ずきずき
と痛む
トトプト
ゼロ
亜久亜は顔を上へと
向け
と目を閉じ
茶茶も
と目を
閉じた
パリポも
ナミクル
強制転移
トトプトの声が部屋
に響き渡る
はいです
その瞬間
ざざ
と足もとか
ら上へと向か
なにか
が吹き上げ
るような感覚が三人を
つつんだ
体が分解し
と空気の中に
とけ込んでいくような
感覚
ふわ
とした感覚
自分が自分でなくな
この世界に満ちて
いる様
なきらめきと
一つになるような感覚
時間にして
数百分
の一秒にも満たない時
とまばゆい光
が辺りをつつんだ
そのまま
そのまま
三人と
二人のぷりんて
んの
姿はその場から
と消えていた
やがて
何ごともな
たかのように
屋はもとへと戻る
後には
後には
ただ窓辺の
テンだけが
さら
さら
さらさら
と揺
れていた
そして
もう一つ
すかに響く
美也子の
残存音声
とま
たのに