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ぷりんてぃ
んと.
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遊ぼうよ!
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第1
8
話.
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怪盗さん.
ぽかぽかとあたたかな陽射しが降りそそぐ
ある日のことです
。
.
クロミ︱
ちゃ
んはたくさんの菜の花が咲く
丘の上で
、
ぼんやりとひなたぼ
っ
こをしていました
。
﹁
そういえば、
怪盗さん
っ
て、
いまどうしてるのかな
︱
?
﹂
.
クロミ︱
ちゃ
んはつぶやきました
。
.
みなさんも経験がありませんか
?
.
ぼんやり、
ぼんやりと空を見上げているう
ちに
、
長く長く会っ
ていない懐かしい誰かを
思い出す
・
・
・
そんなすてきなことが
。
.
ちょ
うどこの日のクロミ
︱
ちゃ
んもそうでした
。
.
お空にぽっ
かり浮かぶ雲を眺めていると
、
だんだんとその雲の形
が
、
マスクとマントを付けた
、
とあるぷりんて
ぃ
んの姿に見えてきました
。
﹁
怪盗さんともずっ
と会
っ
てないな︱
﹂
.
クロミ︱
ちゃ
んはつぶやきます
。
﹁
最後に会っ
たのはいつだ
っ
たかな?
.
いまどうしてるかな
︱
?
.
いまはどこにいるのか
な
︱
﹂
.
クロミ︱
ちゃ
んは菜の花を手に
、
もの思いにふけ
っ
ていました。
.
するとそのときです。
﹁
ただいま、
クロミ︱
ち
ゃ
ん﹂
.
突然・
・
・
.
突然、
木のかげから声がしました
。
﹁
えっ
?
﹂
と思っ
て、
クロミ
︱
ちゃ
んが眺めると
、
そこには・
・
・
.
そう、
そうです、
そこには
、
いまクロミ︱
ち
ゃ
んがぼんやりと思い出していたぷりんて
ぃ
ん・
・
・
.
ぷりんてぃ
んの怪盗さんが顔をのぞかせて
いたのです
。
﹁
わあ﹂
.
クロミ︱
ちゃ
んは思わず声を上げました
。
﹁
本当に怪盗さん?
.
び
っ
くり。
会いたかっ
たわ
。
いつ戻っ
てきたの
?
﹂
﹁
たっ
たいまだよ。
クロミ
︱
ちゃ
んがボクのことを呼ぶ声が聞こえ
たよ
︱
﹂
﹁
わあ、
すごい嬉しい!
﹂
﹁
ニャ
ニャ
ニャ
︱
ン﹂
とお昼寝をしていた猫
もび
っ
くりして、
飛び起きます
。
﹁
ねぇ
、
怪盗さん、
いままで
、
どこでなにをしていたの
?
﹂
.
クロミ︱
ちゃ
んはたずねました
。
.
ところで、
ねっ
、
みなさん
、
﹁
怪盗さん﹂
なんて、
ち
ょ
っ
と変わっ
た名前ですよね
。
.
怪盗・
・
・
ということは泥棒さん
?
.
悪いことをするぷりんて
ぃ
んなのでしょ
うか
?
.
いえいえ、
違います。
.
実はまっ
たく逆なのです
。
﹁
あのね、
クロミ︱
ちゃ
ん。
ボクの仕事は世界中を巡
っ
て、
人々
の中にある悪い心を盗み
出すことなんだよ
﹂
.
怪盗さんは言いました
。
﹁
だから地球上の悪い心をさがして
、
あちこちを飛び回
っ
ていたんだ
。
.
悪い心をとりのぞいてあげると
、
心が軽くな
っ
て、
みんな毎日を楽しく
、
平和に暮らせるからね
。
.
ボクに与えられた大切な仕事なんだ
﹂
﹁
わあ、
そうなんだ︱
﹂
.
クロミ︱
ちゃ
んは怪盗さんにまた会えた嬉
しさと懐かしさで
、
色々
なことを次から次へと質問しました
。
.
怪盗さんはにっ
こりと笑
っ
て、
答えます。
﹁
悪い心はいつでも、
どこにでもい
っ
ぱいあるんだよ
。
油断してると
、
すぐに新しく生まれてきち
ゃ
うしね。
.
だからボクはクロミ︱
ちゃ
んのところに帰っ
てくる時間がなかっ
たんだよ
。
地球を何周も何周もして
、
たくさんの人の心から悪い心
を取りのぞいてきたん
だ
。
.
それでやっ
といま一休み
。
ちょ
っ
と疲れたので
、
クロミ︱
ちゃ
んに会いたくて
、
戻っ
てきたんだよ
﹂
﹁
わあ、
地球をぐるぐる回
っ
てたんだ。
いいことをたくさんしてき
たのね
。
それじゃ
、
楽しいこともい
っ
ぱいあっ
たのね?
﹂
﹁
違うよ︱
﹂
﹁
えっ
?
﹂
﹁
みんなの心から悪い心を盗み出すのは
、
大変な仕事なんだよ
。
楽しいこともあ
っ
たけど、
大変なことの方が多か
っ
たんだ﹂
.
怪盗さんは地球のさまざまな場所で経験し
たことをクロミ
︱
ちゃ
んに話しました
。
.
.
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☆.
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.
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☆.
☆.
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.
☆.
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.
.
☆.
ときには猛獣に追いかけられたり
、
.
崖に落ちたとき、
鳥さんに助けてもら
っ
たり
、
.
海でおぼれそうになっ
たときには、
イルカさんの背中に乗せても
らいました
。
.
砂漠で倒れてしまっ
たこともあります
。
.
それは、
もうもう、
聞いているだけでも
、
大変な大変な大冒険で
す
。
.
クロミ︱
ちゃ
んは冒険の話を聞くたびに
、
はらはら
。
﹁
わあ︱
、
そんなこともあ
っ
たんだ。
本当に大変だ
っ
たんだね﹂
﹁
うん、
でもね﹂
.
怪盗さんは言いました
。
﹁
それがボクの仕事だからね
。
いろいろ危険な目にも遭
っ
たけれど、
人
々
の悪い心を盗んで、
みんなにい
っ
ぱい感謝もされたんだよ
﹂
.
クロミ︱
ちゃ
んは、
うんうん
、
とうなずきました
。
﹁
そっ
か︱
、
それはすばらしいことだよね
﹂
.
そうは言っ
たものの、
多くのつらい思いをし
て
、
みんなのために頑張
っ
ている怪盗さんのことを思い
、
クロミ︱
ち
ゃ
んは少し涙ぐんでしまいました
。
﹁
それで、
クロミ︱
ちゃ
んは、
最近どんなことがあ
っ
たの?
﹂
.
怪盗さんはたずねます
。
﹁
うん、
私はね・
・
・
﹂
.
二人は時が経つのも忘れて
、
お互いのことを話しました
。
.
さて、
人々
の心から悪い心を盗み出すのが
お仕事の怪盗さん
。
.
しばらくクロミ︱
ちゃ
んのもとにいるようです
。
.
でも、
そのお話はまた次回ね
。
.
続きます。