.
第二章.
.
大切な﹁
人間力﹂
.
道に.
.
.
迷っ
たときには.
誰でもいま自分が歩んでいる道が正しいの
か
、
どうか、
不安になるときがあると思うの
ね
。
.
いまのままの自分でいいのか
?
.
このままでいいのか?
.
もっ
と別の、
自分にあ
っ
た道があるんじゃ
ないか
?
.
自分がほんとうに進むべき道はどれなのか
?
.
いっ
しょ
に歩んでいく人はこの人でいいの
か
?
.
・
・
・
・
・
・
・
・
・
.
いまこのときの不安、
将来の不安
、
見えない未来への不安
。
.
・
・
・
・
.
ぐるぐる、
ぐるぐる、
さまざまな感情が
、
次から次へと浮かんでき
て
、
不安になっ
てしまう
。
.
考えないように、
考えないように
、
と思うと
、
よけいにわけがわからなくな
っ
て・
・
・
.
不安な思いに胸が押しつぶされそうにな
っ
てしまう
。
.
霧の中に迷い込んで、
道がま
っ
たく見えなくな
っ
てしまう。
.
・
・
・
そんなときがあると思うのね
。
.
ほんとうに不思議よね
。
.
霧の中に迷っ
てしまうと
、
いままでふつうに見えていた
、
歩いていた道まで見えなくな
っ
てしまうのだから。
.
目の前がまっ
白になっ
て、
ただ、
ただ、
不安な思いにかられて
、
足がすくんで
、
立ちつくしてしまう
。
.
どうしたんだろう?
.
どうしたんだろう?
.
と自分に問いかけてみても
、
自分が自分でなくな
っ
てしまうような
、
恐ろしさだけがこみ上げてくる
。
﹁
歩かなくっ
ちゃ
、
とにかく
、
歩かなくっ
ちゃ
、
前へと進まなくっ
ち
ゃ
﹂
と心では思うのだけれど
・
・
・
心ではち
ゃ
んと分かっ
ているのだけれど
、
そう思えば
、
思うほど、
自分でもどうしようもなくな
っ
てしまう。
.
足がすくんで、
その場から動けなくな
っ
てしまう
。
.
不安で、
不安で、
動けなくな
っ
て、
まるで幼児
︵
おさなご︶
のように
、
ただ、
ただ、
その場で
、
わんわんと泣いていることしか出来
なくな
っ
てしまう・
・
・
.
誰にも言えず、
誰にも相談できず
、
誰にも気づいてもらえない
。
.
ただ一人、
心の中で、
わんわんと泣いている
ことしか出来なくな
っ
てしまう
。
.
自分が自分でなくなっ
てしまうような、
.
叫びだしたいような、
.
でも、
泣いていることしか出来ない
、
.
誰にもわかっ
てもらえない
、
理解してもらえない
、
.
自分はこの広い広い世界にた
っ
た一人・
・
・
.
たっ
た一人ぽっ
ちで取り残されてしま
っ
ている
・
・
・
.
まわりのすべての人に見捨てられている
・
・
・
.
・
・
・
そんな思いにかられてしまうときが
あると思うのね
。
.
だけどね、
そんなときほど
、
あなたの中のほんとうの力が試され
るときはないと思うの
よ
。
.
﹁
人間力﹂
が試されるときなのよ
。
.
道に迷っ
たとき、
何もせずに
、
じっ
としているのは
、
かえっ
て不安で
、
つらいことかも知れない
。
.
でもね、
そんなときには
、
あえてそうしてみるの
。
.
心を落ち着けて、
目を閉じて
、
考えてみるの
。
.
じっ
と自分自身を見つめてみるの
。
.
自然と、
あなたの﹁
人間力﹂
が正しい道を示してくれるはずよ
。
.
﹁
人間力﹂
っ
て、
なに
?
・
・
・
っ
て思うかも知れない
。
.
それはそんなにむずかしいものではないの
よ
。
.
﹁
人間力﹂
は、
これまでの人生の中で
、
知らず知らずのうちにあ
なたの中にたくわえら
れているのだから
。
.
まだ記憶もはっ
きりしない幼い頃から
、
少年
・
少女時代をへて、
﹁
いま﹂
このときまで。
.
これまで生きてきたすべての時間
、
すべての経験が
、
これから先を生きていく上での
﹁
人間力﹂
となっ
て、
あなたの中にたくわえ
られているのよ
。
.
少年・
少女時代は、
将来の自己確立
、
自己実現に必要な
﹁
人間力﹂
を創りはじめる大切な
助走期間
。
.
そこから少しずつ速度をあげながら
、
あなたは知らず知らずのう
ちに豊かな
﹁
人間力﹂
をあなたの中にたくわ
えてきたのよ
。
.
それは﹁
いま﹂
でも続いている
。
.
これからも続いていく
。
.
﹁
いま﹂
この瞬間、
瞬間
、
与えられた状況、
環境で
、
出来る可能なかぎりの
、
﹁
いま﹂
するべきことを
、
しっ
かりとする
。
.
いっ
ぱい学んで、
いっ
ぱい感動体験をして、
い
っ
ぱい周りの人と笑いあ
っ
て、
何にでも興味をも
っ
て、
自分の目で見て
、
耳で聞いて、
実際に手をふれ
、
感じて
、
思い出をいっ
ぱいつく
っ
ていく。
.
あんなことをしてなんになるの
?
.
こんなこと、
なんの意味があるの
?
.
・
・
・
なんて、
そのときどきには思うこと
もあるかもしれない
。
.
思うこともあっ
たかもしれない
。
.
でも、
それはちがうの
。
.
経験、
体験したことで
、
無意味、
無駄なものなんて一つもないの
よ
。
.
どんなものでも、
一つ一つ
、
自らの心と体に刻み込んでこそ
、
糧
︵
かて︶
になるのよ。
.
無意識であっ
ても、
そのとき
、
そのとき、
体内に黙
々
と吸収し、
蓄積してきたものは
、
血となり
、
肉となっ
て、
生きていくうえで
、
一生
、
自分を支える力、
自分の背中の中心をつ
らぬく
、
ぶれない軸にな
っ
てくれているの。
.
あなたの全身は、
種がい
っ
ぱいまかれた宝の山にな
っ
てくれるの。
.
楽しい思い出、
がんば
っ
た思い出、
つらかっ
た思い出、
悲しかっ
た思い出
・
・
・
.
そのすべてが、
あなたの一生を
、
この瞬間を
、
これから先の未来を支えてくれる種とな
り
、
糧となっ
てくれているのよ
。
.
目には見えなくても、
自分の中に刻まれた行
動と体験の貴いスタン
プの数が
、
すべて豊かな財産
、
輝く宝物となっ
て、
自分を支える基礎体力
、
底力となっ
てくれているのよ
。
.
すべてはこれから先、
未来を切り拓くための
発想力
、
想像力、
理解力
、
応用力、
分析力の源にな
っ
てくれる。
.
すべての積み重ねは決して裏切らず
、
あなたがどんな困難な事態
に遭遇しても
、
くじけず
、
切り抜ける、
心豊かな源泉力とな
っ
てくれる
。
.
心の芽は、
きらきら、
きらきら
、
いつでも確実に成長してくれてい
るのよ
。
.
養分をたっ
ぷり含んで
、
大地にしっ
かり根を張
っ
た、
太い強い木の根
っ
こ・
・
・
土台があなたの中には
、
もう出来上が
っ
ているのよ。
.
そのことを思い出して
、
自信をもっ
て!
.
お日さまが、
すべての人の頭上に公平に輝
いてくれているように
、
誰の前にも無限大の可
能性が広が
っ
ているのも公平なこと
。
.
明日のことは誰にもわからないから
、
ときには不安になることも
あるかも知れない
。
.
道に迷っ
てしまうこともあるかも知れない
。
.
でも、
どんなときでも
、
しっ
かりと前を見つめていることが大事
なの
。
.
勇気をもっ
て、
前を見つめていることが大
事なの
。
.
霧は少しずつ晴れ、
見えなくな
っ
ていた正しい道が
、
しっ
かりと見えてくるわ
。
.
学校生活で多くのことを学び
、
青年期、
社会に出たあなたは
、
新たな出会いの中で
、
新しい栄養を次
々
に補給していく
。
.
毎日、
毎日の経験の中で
、
さまざまなものを吸収していく
。
.
﹁
いま﹂
も多くのことを吸収している
。
.
﹁
ぷりんてぃ
ん﹂
を心に輝かせて
、
あなたの木は空を目ざして
、
いまも
、
ぐんぐん伸びているわ
。
.
それを忘れないで。
.
さらなる経験を心と体に刻み込んで
、
成長してきたあなたの木
。
.
どんな嵐がこようとも
、
失敗にぶちあたっ
ても
、
あなたの太い幹はビクともしないわ
。
.
大きく深呼吸して、
全身にお日さまのエネ
ルギ
︱
を浴びて、
心の宝物を信じて
、
行動しては
、
また考える。
.
目に見えない、
そんなかすかな繰り返し
、
繰り返しの中で
、
またち
ょ
っ
とだけ前進できる
。
.
歩き出すことができる
。
.
時間がかかっ
ても、
毎日
、
同じことを繰り返しているように見え
ても
、
今日から明日へ、
未来へとあなたの樹は
確実に成長をつづけて
いるの
。
.
昨日、
今日、
明日、
.
あなたの樹には小さな枝がいくつも
、
いくつも生えてきている
。
.
それがあなたの.
.
.
.
.
﹁
人間力﹂
.
道に迷っ
て、
まわりが見えなくな
っ
てしまっ
たときには、
あなたのその力を信じて
、
心に問いかけてみて
。
.
それはいつでもあなたを見守
っ
てくれている
、
あなたの手を引いて
、
正しい道へと導いてくれる大切なお母さ
んのようなものなの
。
.
どんなに泣いているときでも
、
そっ
とあなたの手をにぎ
っ
てくれる
。
.
経験という名のお母さんは
、
いつでもあなたの中にいるの
。
.
答えはいつでも、
あなたの中にあるの
。
.
あなたは答えを知っ
ているの
。
.
その手を振りほどいたりせずに
、
にっ
こりとほほ笑み返して
、
その声に耳をかたむけて
みて
。
.
あなたの中のお母さんはかならず教えてく
れるはずよ
。
.
やがて霧が晴れ、
道が見えてきたなら
・
・
・
歩んでいく道を見つけたなら
、
その一つの道を信じて
、
ふたたび歩きだす
。
.
あなたの中に眠っ
ている温かいぬくもりを
輝かせて
、
あなたの樹はまた成長をしていく
わ
。
.
道に迷っ
たこと自体を新たな糧として
、
さまざまなものを吸収し
て
、
さらに熟成し、
成長していくのよ
。
.
いつかはあなたの中のお母さんの助けはい
らなくなるかも知れな
い
。
.
ある日、
気がつくと、
あなたの樹は枝
々
を大きく四方に広げ
、
緑豊かな葉を茂らせ
、
いっ
ぱい芽をつけ
、
いっ
ぱいの花を咲かせ
、
豊かに実をみのらせている
はずよ
。
.
小鳥たちもうれしくて
、
枝々
で歌っ
ているわ
。
.
お日さまのきらめきに包まれて
、
あなたにふさわしい世界
、
あなたらしい輝く大木へと
育
っ
てくれるのよ。
.
そのときにはもう、
道に迷
っ
たりしない。
.
もちろん、
﹁
ぷりんて
ぃ
ん﹂
も、
みんなとい
っ
しょ
に歌っ
ているわ
!
道に迷ったときには、
あなたがこれまで積み重ねてきた経験
‘人間力’ を信じてください
それはあなたの手を引いて導いてくれる
‘お母さん’のようなもの
あなたはもう、正しい答えを知っているのですから