.
第十二章.
.
多様な人々
.
.
.
違いを超えて.
いま、
この現代は、
とても超
・
超スピ︱
ドで
、
便利な社会。
.
科学やその他、
もろもろの急速な進歩によ
っ
て、
毎年、
毎年、
数年前とは比べものにな
らないくらい
、
すごい社会にな
っ
ているわ。
.
コンピュ
︱
タ︱
や、
通信の発達によ
っ
て、
世界中の人が
、
国境を越えて交流し合い
、
日常的に出会う機会も増
えている
。
.
ネッ
トや、
バ︱
チャ
ルな世界でも
、
親しい知り合いのように
、
おし
ゃ
べりして、
楽しんでいるよね
。
.
町を歩いていると、
ふつうの私たちの周り
でも
、
多様な人々
と出会うことが
、
むかしに比べると
、
本当に多くな
っ
ている。
.
文化、
言葉、
宗教、
民族
、
国籍、
肌の色・
・
・
など、
など、
など、
ま
っ
たく違う人々
と出会うことが多くな
っ
たわよね
。
.
私たちがお互い同士、
理解し合うためには
、
言葉で表現し
、
意思を伝え合うのが一番いい
のだけれど
、
あまりに違い過ぎると
、
かえっ
て言葉を交わすことに
より
、
さらに摩擦を増大させてしまう場合も
あるよね
。
.
喧々
囂々
︵
けんけんごうごう
︶
。
.
大勢のまっ
たく違う人
々
が集まっ
て、
﹁
それは
、
おかしい!
﹂
﹁
変だ!
﹂
﹁
どうかしてる
!
﹂
っ
て非難の応酬
。
.
そんなことにもなっ
てしまう
・
・
・
.
自分にとっ
て当たり前のことが
、
ほかの人にと
っ
てはそうでなかっ
たり・
・
・
.
たとえばまっ
赤な一つのリンゴを見たとし
ても
、
感じる思いは人それぞれ
。
.
まっ
たく違うのよ。
.
・
・
・
﹁
おいしそう、
丸ごとかじりたい
﹂
﹁
あのピカピカの赤色はすばらしい
﹂
﹁
田舎のリンゴの木を思い出した
﹂
﹁
あっ
、
リンゴジャ
ムを作りたい
﹂
﹁
なんの果物なんだろう
?
﹂
﹁
絵に描きたいな︱
﹂
などなど
。
.
たっ
た一つのリンゴを見ても
、
考え方、
捉︵
とら︶
え方、
感想はさまざま
、
多種多様。
.
一人一人、
みんな違うのよ
。
.
年代によっ
ても、
育っ
た国や環境、
経験によ
っ
ても、
み︱
んな違うの
。
.
一人として、
まっ
たく同じではないの
。
.
自分と同じではないのよ
。
.
心で思っ
ていることが違うということは
・
・
・
みんな一人一人、
意識が違うということ
は
、
お互いに理解し合うのは
、
私たちがふだん想像している以上に
むずかしい
っ
ていうことだよね
。
.
お互いに相手を受け入れる準備がなくては
、
よけいにすれ違いが多
くな
っ
てしまう。
.
かえっ
て、
関われば関わるほど
、
いざこざが大きくな
っ
てしまう。
.
でも、
それでも、
相互に自分たちの考えや
気持ちを言葉として発
して
、
伝え合っ
て・
・
・
伝え合っ
て、
伝え合っ
て、
伝え合っ
て・
・
・
そうすることで、
はじめて
、
私たちは理解し合うことができる
。
.
これだけが﹁
唯一﹂
、
﹁
絶対﹂
、
.
自分の考えだけが、
﹁
絶対﹂
、
.
自分が気付いたこと・
・
・
自分が目にしてきたこと
・
・
・
自分が感動したこと
・
・
・
自分が理解したこと
、
それだけが
、
﹁
唯一﹂
、
﹁
絶対﹂
のもの・
・
・
.
・
・
・
そうしたものが現実にはこの世界に
・
・
・
この宇宙のどこにも
、
存在しない以上、
私たちは
、
辛抱強く言葉を交わし続けること
で
、
はじめてお互いにわかり
、
認識し合えるっ
ていうことだよね。
.
お互いの共通した部分
、
お互いに違っ
ている部分に
、
気付かされる
、
っ
ていうことだよね
。
.
自分の考えだけが﹁
絶対﹂
と思うのは、
とても楽なことだけれ
ど
、
それだと永遠に交わり
、
理解し合うことは出来ない
。
.
人々
の数だけ、
この世界には
、
何十億もの、
その人だけの考え
、
一人一人の
﹁
哲学﹂
があるのだから
。
.
一度、
これまで自分が学んできた多くの経
験をゼロにして
、
頭をから
っ
ぽにしてみると、
どんな相手の考えもま
っ
さらのところから理解することが出来るの
。
.
からっ
ぽだから、
どんな人の考えも素直に
受け入れることが出来
る
。
.
器︵
うつわ︶
がいっ
ぱいだと
、
新しいものが入
っ
てこようとしても
、
押し退け、
追い出してしまうでし
ょ
う?
.
ときには先入観をすべて捨ててしまうこと
も大切なの
。
.
私たちには、
言葉というかけがえのない道
具が与えられている
。
.
言葉はその人の意識のあらわれ
、
心そのもの
。
.
言葉はその人、
一人一人の考え方から発せ
られるもの
。
.
その人、
一人一人にと
っ
ては正しいことでも
、
ほかの人にとっ
てはそうであるとは限ら
ない
。
.
考え方、
捉え方、
感性は
、
その人、
一人一人の育
っ
た地域、
国、
文化
、
教育、
人々
との関わり
、
ふれ合い、
等の環境などで
、
時間をかけて育まれ
、
つちかわれるものだから
。
.
特に現代のように国境を越えて
、
多種多様な人
々
が普通のこととして集まれば
、
考え方は複雑にからみ合
っ
て、
相互に理解し合うのは
、
ますますとても難しく
、
時間を要するようにな
っ
ているよね。
.
それぞれの人が属している国の
、
まっ
たく違う価値観
・
・
・
考え方の相違にとまどうこ
とも多くな
っ
ているよね
。
.
相違が多ければ、
多いほど
、
何度も何度も会話をくり返し
、
少しずつ理解し
、
認め合い、
さらにまた多くの時間
を要して
、
お互いのわだかまりを溶かし
、
最後は尊敬し合えるよう
に努めたいよね
。
.
言葉は人だけに授けられた最高の贈り物な
のだから
、
相手を見下げたり
、
罵︵
ののし︶
っ
たりするために使っ
ては
、
言葉に申し訳ない
。
.
相手の心を壊し、
自分の真実
︵
まこと︶
の心まで壊してしま
っ
たら
、
悲しいものね。
.
言葉の力を借りて、
信じて
、
お互いの心象的イメ
︱
ジの違いを伝え合い
、
相違を認め合っ
た上で、
さらに同じ方向を求め合う
。
.
同一性を求め合う。
.
そして次第次第に、
お互いを高め合えたら
うれしいよね
。
.
未来をよりよくするために
、
お互いの相違が心によい影響を相互
に与えられたら
、
すばらしいよね
。
.
相手の言葉を本気で聞けば
、
必ずどこかに理解しあえる接点が見
つかるはずなのよ
。
.
たっ
た一つの言葉が心に感銘を与え
、
人を動かす原動力とな
っ
てくれることもある
。
.
もし自分がこの相手の立場だ
っ
たら、
と考えることで
、
一歩、
譲り合うことが出来る
。
.
謙虚に、
客観的に、
意識の知性で対話する
ことで
、
違いを許し合うことが出来る
。
.
内なる平和を保ちつつ
、
意識を変えて・
・
・
.
そうすることで、
だんだんと信頼関係に達
することが出来るのよ
。
.
どんなに国や環境の違いからくる意識の相
違
、
価値観の相違があろうとも
、
お互いが相手を認め
、
受け入れることで
、
摩擦はさけられる
。
.
手をつなぎ合える将来像を描くことが可能
になるのよ
。
.
すべての人、
一人一人の心の奥にある美し
い心には
、
国境はないの
。
.
変わりはないの。
.
すばらしい言葉に接したときは
、
誰でも感動するでし
ょ
う?
.
すべての人の心の中には
、
﹁
ぷりんてぃ
ん﹂
が輝いているの
。
.
どんな国、
民族に属していようとも
、
すべての人が同じ空を見上
げ
、
同じ空気に支えられ
、
生かされ、
心にお日さまを輝かせて
、
同じ大地を歩んでいるん
ですもの
。
.
美しい心を輝かすことで
、
意識の違うお互いの心を融和させるこ
とが出来るのよ
。
.
どんな人種に属していようとも
、
遥かな何億光年の輝きに包まれ
て
、
みんな公平に同じ裸で生まれ
、
裸で消えていくの
。
.
いま、
この瞬間、
瞬間は
、
すでに過去であっ
て、
未来への瞬間でもあるの
。
.
瞬間はすべてのみなもと
。
.
刻々
と刻まれる瞬間、
瞬間の重なりが連続す
ることで
、
一日、
一年、
百年と
、
遥かな昔から未来へと
、
何億年と途切れることなく歴史は
つむがれて
、
そして﹁
いま﹂
、
私たち一人一人はここにある
。
.
ここにいるの。
.
私たち一人一人は、
いまのこの瞬間に内包
されて
、
歴史をつむいでいるのよ
。
.
この瞬間、
瞬間の積み重ねの中で
、
私たち一人一人は
、
自分を形成している
。
.
刻んでいるの。
.
だから、
だからこそ、
美しい心から発光され
る生きる営みの歓びに
感謝したいよね
。
.
みんな、
違いを認め合
っ
て、
仲よくしたいよね
。
.
みんな、
一人一人違うから
、
楽しいのよ。
.
違う力を出し合っ
て、
助け合
っ
て、
支え合っ
て
、
補い合っ
て、
少しずつでも同じ方向
、
目標に向か
っ
ていけたら、
うれしいよね
。
.
嬉︵
よろ︶
こびを作り出し
、
わかち合っ
ていると
、
幸せはほほ笑んでくれるのよ
。
.
多様な価値観からつむぎ出される新しい感
動が輝き合
っ
て、
幸せの輪をつく
っ
てくれるのよ
。
.
あら?
.
お祭りが始まっ
たようよ
。
.
大通りの両側は見わたすかぎり
、
いろんな国の国旗や提灯
︵
ちょ
うちん
︶
で彩られた屋台でぎ
っ
しりよ!
.
なんてにぎやかなお祭りなんでし
ょ
う。
.
見たことも、
食べたこともないお料理が盛
りだくさん
。
.
みんな、
おいしそう︱
!
.
いいにおい!
.
店員さんたちも、
お国の独特な衣装で
、
とっ
てもすてき!
.
ほら、
見て、
踊りも始ま
っ
たわ!
.
よさこい踊りにサンバ踊り
、
蛇踊りにサルサ踊り
、
あわ踊りにフラメンコ
、
ストリ︱
トダンスに続いてフラダ
ンス
、
ヨ︱
デルも聞こえてくる
。
.
ほかにも、
見たこともない踊りが続
々
!
.
数え切れないぐらい!
.
数え切れないけれど、
と
っ
ても楽しいわ!
.
大きな山車︵
だし︶
も曳
︵
ひ︶
かれてきた。
.
それぞれの国の色で彩られた
、
たくさんの山車が
。
.
太鼓に、
笛に、
ピ︱
ヒ
ャ
ラ、
チンドン、
キンコンピ
︱
♪.
お囃子︵
はやし︶
もにぎやかね
!
.
山車の上では、
肌の色
、
髪の色、
瞳の色・
・
・
さまざまな違いを持
っ
た人々
がいっ
しょ
に踊
っ
ている。
.
あっ
ちでは、
いろんな国の人
々
が参加して、
ダンスも始ま
っ
たわ!
.
こっ
ちでは、
見知らぬ国の人同士が一つの
テ
︱
ブルを囲んで、
お料理を交換し合
っ
て、
食べている
。
.
手振り、
身振りで、
言葉はなくても
、
会話がはずんでいる
。
.
次第次第に、
言葉はなくても
、
体を寄せ合っ
て、
笑い合っ
ている。
.
みんな、
みんな、
楽しんでいるのね
。
.
同じ場所、
同じ時間、
同じひとときを共有し
合
っ
て、
心が一つにとけ合
っ
て、
笑い合っ
ている
。
.
嬉︵
よろ︶
こびを共有し合
っ
て、
心が一つにな
っ
た笑顔が輝いているわ
!
.
あっ
ちからも笑い声、
こ
っ
ちからも笑い声がわき上が
っ
てくる。
.
言葉を超えて、
心が通じ合い
、
とけ合っ
て、
輝いている笑顔
。
.
笑い声は風にとけ込み
、
きらきら輝き、
風に運ばれて
、
次々
と空へ届けられるの
。
﹁
お︱
い、
空さ︱
ん!
.
いつも見てくれていて
、
ありがとう!
.
私たちのいまを楽しんでいるよ
︱
!
.
お日さまのように輝いているよ
︱
!
﹂
.
空の耳はしっ
かり聞きとめ
、
後世へと語り伝えることを約束して
くれるわ
。
.
笑い声は永遠の輝きとな
っ
て、
未来への嬉︵
よろ︶
こびの応援歌として
、
時の流れを超えて
、
響きわたるの。
.
ぷわっ
はっ
はっ
は︱
!
.
ぷわっ
ほっ
ほっ
ほ︱
!
.
あっ
、
そ︱
れ、
あっ
ぱれ
、
かっ
ぽれ、
でかした
、
めでたい、
.
あ︱
、
そ︱
れ、
それそれ
、
.
ぷわっ
はっ
はっ
は︱
!
.
ぷわっ
ほっ
ほっ
ほ︱
!
.
日常の中でも、
めざましく
、
革新的な科学や技術の進歩によ
っ
て、
多くの恩恵を受けてい
る私たち
。
.
地球上のあらゆる国、
人
々
と、
時間、
場所を超えて
、
いつでも、
どこでも瞬時に知り合え
る
、
﹁
いま﹂
。
.
気がつくと、
これまでは生涯
、
知り合うことが不可能だ
っ
た人々
とも
、
家にいて会話している
。
.
異文化、
異民族・
・
・
もっ
と、
もっ
と、
諸々
︵
もろもろ︶
の壁を超えて
、
交流し合っ
ている
。
.
国や、
文化、
民族・
・
・
どんなに表面上の違いがあ
っ
ても、
私たちの心の土台にあるも
のには
、
少しも変わりはない
。
.
美しいものに感動するという心には
、
違いはないのよ
。
.
さりげない交流から得られる答えは一つ
。
.
みんな心は同じ。
.
人から人へ、
また別の人から人へ
。
.
つながっ
た手の輪を、
心の輪を
、
もっ
ともっ
と輝かせるために
・
・
・
せっ
かくつながっ
た人同士ですもの
。
.
力を合わせて、
笑い合わなくては
、
もっ
たいないわ
。
.
どんなものにも様々
な面があるように
、
私たちが手にしている技
術にも
、
様々
な面がある
。
.
そのことを理解し、
出来るかぎり
、
すべての人
々
がより良く生きる方向に活用したいよ
ね
。
.
手をつなぎ、
理解し合える助けとして
、
活かしていきたい
。
.
そうでなければ、
申しわけないわ
。
.
どんな知識や道具も、
﹁
いま﹂
を生きるすべての人
々
に空から与えられた
、
すばらしい贈り物なのだから
。
.
私たちは互いの違いを認め合うことで
、
いまよりも
、
もっ
と、
もっ
と、
より輝きに満ちた未来を
﹁
一人﹂
﹁
一人
﹂
が手に出来るのだから
。
私たちはこれまで考えられなかったぐらいに、
さまざまな文化・文明が
発達した時代に生きています。
国境を越え、多くの人々が行き交う‘いま’。
得られた知識は、互いに手をつなぎ、
理解し合うために!
なにより、私たち自身の幸せと、
すべての世界のために。